停留睾丸(陰睾丸)

こはく は片方停留睾丸(陰睾丸)でした。

犬は生まれてすぐは睾丸が陰嚢に
降りてきていません。
生後2カ月位で降りてくるのが普通です。
(まれに1歳位で睾丸が降りてくる例があるようです)

こはく は1歳まで待ちましたが停留したまま
で陰嚢に睾丸が降りてきませんでした。

可能性は低いですが、知らないうちに脱走して
他所の犬と交配していたと言う事が絶対にないとは
言えないので念のためというのが、去勢した理由の一つ。
(飼い主の知らない)交配を防ぐ目的です。

停留睾丸は遺伝性疾患(遺伝病)といわれていますが、
いくつかの遺伝子が停留睾丸には関与していることが
考えられていて、現時点で原因となる遺伝子変異は
同定(どこか確実に分かること)されていないそうです。

停留睾丸の遺伝子は劣性遺伝と考えられているので、
こはくの父犬はキャリア
(二つの対になる遺伝子のうちの一つが劣性形質)で、
母犬はキャリアもしくはアフェクテッド
(発症個体。対になる二つの遺伝子両方ともが劣性形質)
を持っていると考えられます。

さて、劣性遺伝覚えていますか?
生物の授業(理科の授業だった?)でやりましたよね?
メンデルの法則。

例えば、停留睾丸に関わる遺伝子がR(r)としましょう。
優勢形質(停留睾丸を発症させない)は R で表されます。
劣性形質(停留睾丸を発症させる因子)は r です。
遺伝子は対になっているので、ノーマル(正常)は RR で
キャリアは Rr 、アフェクティッド(発症個体)は rr です。

こはく は発症個体ですので、rr 。
こはく の遺伝子は父から一つ、母からひとつずつもらうので
こはく の父も母も対になる遺伝子のうちの一つは r 確定。
父犬は発症個体ではないと思うので、停留睾丸に
関わる遺伝子型は Rr 。
母犬は Rr か rr ですが、牝犬には睾丸がありませんので
停留睾丸に関わる遺伝子が他にどのような形質に関わって
くるのかが分からないと牝犬の停留睾丸の因子型は不明です。

もし、両親犬のうちの片方がノーマル(正常)RRであれば
もう一方が何であっても停留睾丸の犬は生まれません。

父犬がノーマル(正常)RRの場合、
 母犬がノーマル(正常)RRなら生まれる子犬全てが
  ノーマル(正常)RRです。
 母犬がキャリア(一方のみ劣性形質)Rrであれば
  理論上は生まれる子犬の半数がノーマル(正常)RR、
  半数がキャリアRrです。
 母犬がアフェクティッド(発症個体)rrであれば
  生まれる子犬の全てがキャリアRrです。

父犬がキャリア(一方のみ劣性形質)Rrの場合、
 母犬がノーマル(正常)RRなら、
  理論上は生まれる子犬の半数がノーマル(正常)RR、
  半数がキャリアRrです。
 母犬がキャリア(一方のみ劣性形質)Rrであれば
  理論上は生まれる子犬の1/4がノーマル(正常)RR、
  半数がキャリアRr、1/4がアフェクティッド(発症個体)rrです。
 母犬がアフェクティッド(発症個体)rrであれば
  理論上は生まれる子犬の1/2がキャリアRr、1/2がアフェクティッドrrです。

父犬がアフェクティッド(発症個体)rrの場合(普通は繁殖に用いませんが)、
 母犬がノーマル(正常)RRなら、
  生まれる子犬の全てがキャリア(一方のみ劣性形質)Rrです。
 母犬がキャリア(一方のみ劣性形質)Rrであれば
  理論上は生まれる子犬の1/2がキャリアRr、1/2がアフェクティッドrrです。
 母犬がアフェクティッド(発症個体)rrであれば
  生まれる子犬の全てがアフェクティッドrrです。

残念ながら今の段階では牝犬がキャリアか
アフェクティッドかは分かりませんので
(遺伝子検査で判明しない)
牡犬の交配でアフェクティッド(発症個体)を
出した父犬は繁殖から外すのが確実では?
と思います。
アフェクティッドを生んでしまった牝犬(母犬)も
繁殖から外していいのではないかと思います。

ここからは完全なる想像です。
間違っていることがあると思いますので
そんな考えもあるんだなぁ~と思って
読んでくださいね~。

愛玩犬は優しく従順な性質が求められると
思うのですが、多分、牡犬で優しく従順な犬は
キャリア(一方のみ劣性形質)の犬が多いのかも?

そんな牡犬がチャンピオンとかになって
いっぱい交配させられて子犬がたくさん生まれて
劣性形質の犬が増えていくんじゃないかなぁ?

私、パピヨンと言う犬がとても好きだけど
(見た目も手触りもね)
健康が一番で、健康である上に美しさや
犬質、性質が加わってくるといいなぁと思う。

ま、でもブリーディングって大変なんだと
思うの。自分じゃできないし。
だから思うだけ。偉そうなことは言えないの。

停留睾丸のような遺伝疾患の原因遺伝子が
同定されていって、チャンピオン犬の条件に
遺伝子疾患も加わってくるといいなぁと
密かに思っています。

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